●接客やサービスの現場で「◯◯になります」と言うのが当たり前になっていないか?
●「あちらになります」「あちらでございます」、どちらが正しい敬語なのか不安になる
●言葉遣いひとつで、相手に違和感や不信感を与えてしまった経験がある
●何気なく使っていた表現が、実は間違いだったと知って驚いたことがある
接客やビジネスで使われる敬語表現のなかでも、「あちらになります」は多くの人が誤用している典型的なフレーズです。
ユーザーさんからも、いただく質問の中で、最も多い質問は「この言い方って正しいですか?」というものです。
この記事では、「あちらになります」と「あちらでございます」の違い、正しい使い方、誤用リスク、使い分けのコツを、現場目線で解説します。
読み終わる頃には、どちらが正しいのか自信を持って判断でき、好印象を与える話し方が自然とできるようになります。
迷ったときは「でございます」と覚えてください。最後まで読むことで、その理由が明確になります。
「あちらになります」と「あちらでございます」の意味は誤用と正しい敬語の違いがある
まず結論から言うと、「あちらになります」は誤用で、「あちらでございます」が正しい敬語です。
この2つの表現は一見似ていても、文法的・意味的に大きな違いがあります。
「〜になります」という表現は、本来「変化」や「状態の移行」を表す言葉です。たとえば「4月になります」「新しい店長になります」など、変わることを示します。
一方で、「あちらでございます」は「〜です」の丁寧語「でございます」を使った正しい敬語表現です。「あちら=場所」「でございます=断定の丁寧語」として、相手への案内にふさわしい自然な言い方です。
つまり、「あちらになります」は、変化の意味がない場所や案内に使うのは不自然であり、誤用とされます。
「あちらになります」は誤用!「あちらでございます」が正しい敬語表現
「あちらになります」という言い方が広まったのは、主にアルバイトや新人研修による“マニュアル敬語”が原因です。聞こえは丁寧に感じるかもしれませんが、実際には意味に矛盾があります。
たとえば「席はあちらになります」と言うと、「今からあちらに変わるの?」という誤解を与えかねません。席はすでに存在しており、変化する要素はありません。
一方、「あちらでございます」は、単に場所を丁寧に案内するだけの表現なので、意味としても正確で、相手に誤解を与えません。
敬語として正しいのは、文法的に正確で意味に矛盾がなく、相手に配慮がある「でございます」の方です。
具体的な使い方の違いは接客マナーで差がつく
言葉遣いは接客品質そのものです。
同じ案内でも「でございます」と「なります」では、顧客の受け取り方がまったく変わります。
下記は、接客シーン別の使い方の違いです。
シーン | 間違った例(誤用) | 正しい例(丁寧) |
---|---|---|
席の案内 | お席はあちらになります | お席はあちらでございます |
トイレ案内 | トイレはあちらになります | トイレはあちらでございます |
担当者案内 | 担当は佐藤になります | 担当は佐藤でございます |
商品棚案内 | 商品棚はあちらになります | 商品棚はあちらでございます |
「〜でございます」に変えるだけで、言葉の印象はぐっと上品になり、接客レベルが上がります。
よくある誤用例と正しい例文を知れば安心できる
以下に、現場で実際によく使われている誤用と正しい表現を整理しました。
誤用例 | 正しい表現 |
---|---|
お席はあちらになります | お席はあちらでございます |
会場はこちらになります | 会場はあちらでございます |
お手洗いはこちらになります | お手洗いはあちらでございます |
担当は山田になります | 担当は山田でございます |
共通するのは、「なります」を使うと変化を含んだ不自然なニュアンスが出てしまうことです。
「〜でございます」に言い換えるだけで、印象も意味も格段に向上します。
「あちらになります」を使うと失礼?バイト敬語とマナー違反に注意
「あちらになります」は、バイト敬語と呼ばれる“なんちゃって敬語”の一種です。
使うと、以下のような誤解や評価を受ける可能性があります。
- 教育が行き届いていない会社だと見なされる
- 相手が言葉に敏感な人だった場合、不快に思われる
- ビジネスシーンでは常識がないと思われる
言葉遣いの基本ができていないと、信頼関係が築けず、サービス全体の印象にも悪影響を及ぼします。
特にクレーム対応や年配者対応の場面では、「あちらになります」は避けた方が無難です。
「バイト敬語」がマナー違反と見なされる時代において、正しい表現を身につけることが必須となっています。
「あちらでございます」の使い方は好印象を与える接客術
「あちらでございます」は、接客・案内の場面で最も無難かつ上品な表現です。
自然で流れるような案内ができ、相手に安心感を与えられます。
また、「でございます」は年齢・職業・シチュエーションを問わず使える汎用性の高い敬語です。
◎効果的な使い方のポイント
- 丁寧な声で、笑顔を添える
- 指をさす・手で示すなど、ジェスチャーも添える
- 「〜でございます」「〜ございますでしょうか」などバリエーションを覚える
「でございます」を正しく使える人は、接客スキルが高いと評価されます。
お客様対応だけでなく、上司・取引先との会話でも通用するので、日常的に使うようにしましょう。
両表現の違いを覚えるコツは語源と敬語ルールの理解
言葉の選び方で迷わないために、「なります」と「でございます」の語源的な違いを理解しておきましょう。
表現 | 意味 | 用法 |
---|---|---|
なります | 状態の変化・移行 | 「春になります」「新人になります」など時間・役職・状態が変化する時 |
でございます | 丁寧な断定表現 | 「商品でございます」「担当でございます」など、既存の状態・存在を丁寧に伝える時 |
覚え方はシンプルです。
- 変化するなら「なります」
(例:新しい担当になります、天気が晴れになります) - 変化しないなら「でございます」
(例:トイレはあちらでございます、担当は山田でございます)
このルールを身につければ、言葉選びに迷わずに済みます。
まとめ|「あちらでございます」を使えば失礼なく安心
「あちらになります」は、便利そうに見えて実は誤用です。
本来の意味と合わない使い方をすると、相手に違和感や不信感を与えてしまいます。
一方、「あちらでございます」は、敬語として正確で、どんな場面でも安心して使える表現です。
丁寧で誠実な印象を与え、好感度も信頼度も高まります。
言葉遣いは、相手との信頼関係を築くうえで欠かせない要素です。
正しい敬語を身につけることは、あなた自身の価値を高める第一歩になります。
今後は迷わず、「あちらでございます」を使いましょう。
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